新井歯科クリニックBLOG
2021年06月04日
歯牙移植(自分の歯の移植)について、そのメリット・デメリットについて解説します

歯牙移植については、『自分の歯を移植することは可能か』で解説しましたが、今回も含め、今後のブログでもう少し詳しくお話しさせていただきます。
歯の移植は本当にメリットがあるのでしょうか?デメリットと合わせて考えていきましょう。

歯の移植(歯牙移植)のメリット

①自分の歯で噛める

歯牙移植は確立された治療法のため、正しい手順を踏めば高い成功率があります。自分の歯が1本なくなって、そこにインプラントを植立すればもちろんよく噛めます。また、インプラント治療と比較して優れている点は2つあります。
その一つに自分の歯は色々な感覚を有していることが挙げられます。自分の歯は、歯根膜という歯と骨をつなぐ組織があり、硬さを認識して直接強い力がかからないようなクッション材の役目もあります。この感覚があることで、歯を守っています。インプラントには歯根膜はありません。
もう一つのメリットも歯根膜が関係しています。自分の歯は年々前方に動いており、周囲の歯周組織が弱ってくると動く量が大きくなります。年をとって上の前歯がすいたり下の前歯がガタガタになってくることはこれに起因します。この歯根膜がないインプラントは植立したところを移動しないため、将来的にインプラントの上部構造をやり直す必要が出るかもしれませんが、移植歯は周囲の歯と同様に移動するため周囲と調和します。

②不要な歯を使えば一石二鳥

磨きにくい位置にあって邪魔な親知らずや、噛み合ってない自分の歯を移植することも可能です。そうすることで、歯磨きがしやすくなる上に役に立つことから一石二鳥の治療法といえます。

移植してブリッジをいれています。役に立っていない親知らずが役に立っています。
移植後4年たっていますがなんの問題もありません。

③次の治療法を先延ばしにできる

移植した歯が何年持つかは誰にもわかりませんが、データとして5年生存率は90%あります。もちろん10年以上もつこともありますが、一生持つ保証はどこにもありません。しかし、移植した歯が抜歯になっても、その時にインプラントやブリッジを考えればよいのです。一番効果的な方法として、例えば30代で歯を喪失した場合、先に移植をして50代で移植歯が喪失したときにインプラントをすることでしょう。このようにインプラント埋入を遅らせることで、負担を減らすことができます。

④10代であれば神経を残して本来の自分の歯と変わりなく使用できる

歯牙移植を行った歯は神経まで再生することはないので神経を除去します。しかし、根未完成の歯の場合は神経も再生するためまさに自分の歯で噛めることになります。親知らずは10代なら根未完成の可能性が高く、移植の成功率もあがります。

小さい親知らずを移植しています。
神経の処置がいらないので、
そのまま歯として使用できます。

歯の移植(歯牙移植)のデメリット

デメリットはほとんどなく、むしろメリットばかりの歯牙移植ですが、あえてデメリットを書きます。

①適応できる歯牙がないとできない

 親知らずや相手のいない歯がない場合は当然ながら移植はできません。
 また、親知らずがあったとしても抜歯部分より大きい場合は移植歯が入らないので
できません。移植できる歯があるのに移植できない場合はこれがほとんどです。
また、奥歯を前歯にいれることも当然できません。

②保険が適応できないことも多い

 歯の移植は、抜歯当日に親知らずを入れる場合のみ保険算定が可能です。親知らず以外の歯を使用する場合や、抜歯部分に骨を足したり、骨を削って挿入部分を広くするなど加工する必要がある場合は保険適応外になります。ここの詳しい話は次回にさせていただきます。

まとめ

自分の歯を移植する歯牙移植はメリットの多い治療法ですが、そもそも移植する歯がなければ適応できません。将来不安のある歯がある場合はあえて親知らずを残しておくことも必要です。歯牙移植を積極的に行う歯科医院はあまり多くありませんので、興味があれば是非当院にご相談ください。
お問い合わせはこちら

歯牙移植については、『自分の歯を移植することは可能か』で解説しましたが、今回も含め、今後のブログでもう少し詳しくお話しさせていただきます。
歯の移植は本当にメリットがあるのでしょうか?デメリットと合わせて考えていきましょう。

歯の移植(歯牙移植)のメリット

①自分の歯で噛める

歯牙移植は確立された治療法のため、正しい手順を踏めば高い成功率があります。自分の歯が1本なくなって、そこにインプラントを植立すればもちろんよく噛めます。また、インプラント治療と比較して優れている点は2つあります。
その一つに自分の歯は色々な感覚を有していることが挙げられます。自分の歯は、歯根膜という歯と骨をつなぐ組織があり、硬さを認識して直接強い力がかからないようなクッション材の役目もあります。この感覚があることで、歯を守っています。インプラントには歯根膜はありません。
もう一つのメリットも歯根膜が関係しています。自分の歯は年々前方に動いており、周囲の歯周組織が弱ってくると動く量が大きくなります。年をとって上の前歯がすいたり下の前歯がガタガタになってくることはこれに起因します。この歯根膜がないインプラントは植立したところを移動しないため、将来的にインプラントの上部構造をやり直す必要が出るかもしれませんが、移植歯は周囲の歯と同様に移動するため周囲と調和します。

②不要な歯を使えば一石二鳥

磨きにくい位置にあって邪魔な親知らずや、噛み合ってない自分の歯を移植することも可能です。そうすることで、歯磨きがしやすくなる上に役に立つことから一石二鳥の治療法といえます。

移植してブリッジをいれています。役に立っていない親知らずが役に立っています。
移植後4年たっていますがなんの問題もありません。

③次の治療法を先延ばしにできる

移植した歯が何年持つかは誰にもわかりませんが、データとして5年生存率は90%あります。もちろん10年以上もつこともありますが、一生持つ保証はどこにもありません。しかし、移植した歯が抜歯になっても、その時にインプラントやブリッジを考えればよいのです。一番効果的な方法として、例えば30代で歯を喪失した場合、先に移植をして50代で移植歯が喪失したときにインプラントをすることでしょう。このようにインプラント埋入を遅らせることで、負担を減らすことができます。

④10代であれば神経を残して本来の自分の歯と変わりなく使用できる

歯牙移植を行った歯は神経まで再生することはないので神経を除去します。しかし、根未完成の歯の場合は神経も再生するためまさに自分の歯で噛めることになります。親知らずは10代なら根未完成の可能性が高く、移植の成功率もあがります。

小さい親知らずを移植しています。
神経の処置がいらないので、
そのまま歯として使用できます。

歯の移植(歯牙移植)のデメリット

デメリットはほとんどなく、むしろメリットばかりの歯牙移植ですが、あえてデメリットを書きます。

①適応できる歯牙がないとできない

 親知らずや相手のいない歯がない場合は当然ながら移植はできません。
 また、親知らずがあったとしても抜歯部分より大きい場合は移植歯が入らないので
できません。移植できる歯があるのに移植できない場合はこれがほとんどです。
また、奥歯を前歯にいれることも当然できません。

②保険が適応できないことも多い

 歯の移植は、抜歯当日に親知らずを入れる場合のみ保険算定が可能です。親知らず以外の歯を使用する場合や、抜歯部分に骨を足したり、骨を削って挿入部分を広くするなど加工する必要がある場合は保険適応外になります。ここの詳しい話は次回にさせていただきます。

まとめ

自分の歯を移植する歯牙移植はメリットの多い治療法ですが、そもそも移植する歯がなければ適応できません。将来不安のある歯がある場合はあえて親知らずを残しておくことも必要です。歯牙移植を積極的に行う歯科医院はあまり多くありませんので、興味があれば是非当院にご相談ください。
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