新井歯科クリニックBLOG
2021年03月11日
自分の歯を移植することは可能か

自分の歯を移植することは実は難しくありません。ですが世の中にあまり普及しておらず、移植をよく手がける歯科医としては残念でなりません。今回は自分の歯を移植する事が可能か、詳しく解説していきます。

①自分の歯の移植なんて本当にできるのか

歯牙の移植ができるという話をすると、大体驚かれます。移植の成功率は医院によって違いはあるでしょうが、世界中の論文から集めたデータをまとめた情報(システマッチクレビューといいます)によりますと、5年生存率は90%になります。これはインプラントと比較しても遜色ない数字ということから考えて、歯牙の移植は医療として確立された方法だと考えています。
今のところ当院での失敗はなく、長い症例では10年近く経過していますが問題ありません。(途中で来院が途絶えている場合のその後はわかりませんが)

②どのようなときに移植を選択するのか

どうしても抜歯しなくてはいけない歯があるとします。そんな時に考えられる治療法は

  • ブリッジ
  • 入れ歯
  • インプラント

の3つが主流ですが、ここで4つ目の提案として歯牙移植があります。
移植するには、必要がない歯があり、それを必要なところに移植することになります。つまり、必要がないとされている親知らずを使うことが多くなりますので、親知らずがすでに抜歯されている場合は適応しにくいかもしれません。

赤い矢印の歯を抜歯して、青い矢印の親知らずを赤い矢印のところに移植しています。
赤い矢印の歯を抜歯して、青い矢印の親知らずを赤い矢印のところに移植しています。

右の図は術後5年です。
緑の矢印の歯は、元々青矢印の歯で、移植歯です。

③どれくらいもつのか

①でも述べましたが、5年たっても9割は残っていますし、当院でも約10年もっていることを考えるとすぐにだめになるわけではありません。
移植した歯がしっかりしている場合はかなり長く持ちますが、場合によっては少しずつ歯根が吸収していくことがあります。しかし吸収速度は非常に緩やかで、年齢を重ねるごとに遅くなっていきますからすぐに抜歯になることはありません。
また、埋入深度の関係から少し揺れて生着することもあります。この場合も揺れていますがしっかりかめていることが多く、ある程度は使えることになります。
いずれにせよ、移植した歯は一生もたせるためではなく、2番で挙げた抜歯後の3つの治療法の選択を遅らせるものとして認識して欲しいと思います。インプラントであっても一生持つかどうかはわかりませんし、10年生存率も当然100%ではありません。ですので、すぐにインプラントをするのではなく歯牙の移植をして、それがダメになった時にインプラントを考えるという先延ばしの考え方が良いと思っています。

④しっかりかめるのか

移植した歯も普通の歯と同じようにかめることがほとんどです。
ただし、移植予定の親知らずの歯根の数や湾曲の為に深く埋入できないこともあります。
その場合は少し揺れて生着することがありますが、問題なくかめるようになります。
つまり、自分の歯と同じように噛めるので安心して移植をしてもらえます。

⑤手術の痛みはどれくらいか

痛み止めを飲めば気になる痛みにはなりません。痛み止めを服用する期間は平均して3日くらいになります。また、腫れることもありますが、2〜3日でほぼ元どおりになります。
つまり、歯を抜くのと同レベルの侵襲だと考えています。処置の内容や経過についてはまたどこかで掲載しようと思います。

まとめ

歯牙移植は怖い治療でも特別な治療でもありません。また、自分の歯のようにしっかり噛むこともできますし、ある程度長く使用することも可能です。
インプラントのような人工物もよいですが、やはり自分の歯で噛めることはとても重要です。移植を行うことでインプラントの使用を遅らせることもできます。
当院では歯の移植にかなり力をいれていますので、心配事などあればご相談ください。

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【具体的な治療画像も有り】当院が取り組む歯牙移植の詳細はこちら
歯の移植のご相談、お問い合わせはこちら

自分の歯を移植することは実は難しくありません。ですが世の中にあまり普及しておらず、移植をよく手がける歯科医としては残念でなりません。今回は自分の歯を移植する事が可能か、詳しく解説していきます。

①自分の歯の移植なんて本当にできるのか

歯牙の移植ができるという話をすると、大体驚かれます。移植の成功率は医院によって違いはあるでしょうが、世界中の論文から集めたデータをまとめた情報(システマッチクレビューといいます)によりますと、5年生存率は90%になります。これはインプラントと比較しても遜色ない数字ということから考えて、歯牙の移植は医療として確立された方法だと考えています。
今のところ当院での失敗はなく、長い症例では10年近く経過していますが問題ありません。(途中で来院が途絶えている場合のその後はわかりませんが)

②どのようなときに移植を選択するのか

どうしても抜歯しなくてはいけない歯があるとします。そんな時に考えられる治療法は

  • ブリッジ
  • 入れ歯
  • インプラント

の3つが主流ですが、ここで4つ目の提案として歯牙移植があります。
移植するには、必要がない歯があり、それを必要なところに移植することになります。つまり、必要がないとされている親知らずを使うことが多くなりますので、親知らずがすでに抜歯されている場合は適応しにくいかもしれません。

赤い矢印の歯を抜歯して、青い矢印の親知らずを赤い矢印のところに移植しています。
赤い矢印の歯を抜歯して、青い矢印の親知らずを赤い矢印のところに移植しています。

右の図は術後5年です。
緑の矢印の歯は、元々青矢印の歯で、移植歯です。

③どれくらいもつのか

①でも述べましたが、5年たっても9割は残っていますし、当院でも約10年もっていることを考えるとすぐにだめになるわけではありません。
移植した歯がしっかりしている場合はかなり長く持ちますが、場合によっては少しずつ歯根が吸収していくことがあります。しかし吸収速度は非常に緩やかで、年齢を重ねるごとに遅くなっていきますからすぐに抜歯になることはありません。
また、埋入深度の関係から少し揺れて生着することもあります。この場合も揺れていますがしっかりかめていることが多く、ある程度は使えることになります。
いずれにせよ、移植した歯は一生もたせるためではなく、2番で挙げた抜歯後の3つの治療法の選択を遅らせるものとして認識して欲しいと思います。インプラントであっても一生持つかどうかはわかりませんし、10年生存率も当然100%ではありません。ですので、すぐにインプラントをするのではなく歯牙の移植をして、それがダメになった時にインプラントを考えるという先延ばしの考え方が良いと思っています。

④しっかりかめるのか

移植した歯も普通の歯と同じようにかめることがほとんどです。
ただし、移植予定の親知らずの歯根の数や湾曲の為に深く埋入できないこともあります。
その場合は少し揺れて生着することがありますが、問題なくかめるようになります。
つまり、自分の歯と同じように噛めるので安心して移植をしてもらえます。

⑤手術の痛みはどれくらいか

痛み止めを飲めば気になる痛みにはなりません。痛み止めを服用する期間は平均して3日くらいになります。また、腫れることもありますが、2〜3日でほぼ元どおりになります。
つまり、歯を抜くのと同レベルの侵襲だと考えています。処置の内容や経過についてはまたどこかで掲載しようと思います。

まとめ

歯牙移植は怖い治療でも特別な治療でもありません。また、自分の歯のようにしっかり噛むこともできますし、ある程度長く使用することも可能です。
インプラントのような人工物もよいですが、やはり自分の歯で噛めることはとても重要です。移植を行うことでインプラントの使用を遅らせることもできます。
当院では歯の移植にかなり力をいれていますので、心配事などあればご相談ください。

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